「理屈ばかりでも金儲けはできないと同時に、
人情ばかりでも金儲けはできない。
この二つのほどよい兼ね合いにおいて、
常に新しい金儲けの道が拓かれてくるものである。
世の中には、おのれの欲せざる処を人に及ぼし、
おのれの欲する処を人に施さず、
自分だけは少しでも多く儲けたいが、
人に儲けさせるのは一文でもイヤといった
類の者をみかけるが、そんなのに限って
大成した例はほとんどないようである。
徳は孤ならず、必ず隣有りで
金儲けもまた相身お互いでなければならない。
儲けようと思えば人にも儲けさせ、
人に儲けさせれば自然に自分も
儲かってくるという寸法である。
いつの場合何事も自分一個の功となさず、
つとめて人にも譲るべきである。
儲ける場合必ずまた儲けさせる地位に立つべきである。
しかも、これが度重なれば、
ついには周囲の人々からも立てられ、
成功者中の成功者となることができるのである」
商売の基本としては
お客様を儲けさせることができれば
その見返りとして自分にも
儲ける事ができると聞いたことがあります。
それとはちょっと意味合いが違うかもしれませんが
本多さんはここでは自分独りが儲けるのではなく
儲けをいろんな人で分け合う必要性を説かれています。
自分だけが良い目にあおうとするのではなく
儲けを出すことができたのは関係者のおかげとの
感謝の念を込めてみんなに分け与えるべきとの事でしょう。
その意味では業績が良い会社があった場合は
ボーナスとかで従業員に分け与えて欲しいし
退職金もそれなりに奮発しても良いのではと思いますが
会社という所はそうは問屋が卸さないのかもしれません。
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